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リリー・マルレーンを聴いたことがありますか

私は万博会場で初めてマレーネ・ディートリッヒの歌う「リリー・マルレーン」を聴いた。なぜか心に残る歌だった。私はその歌に誘われてヨーロッパへの旅に出た。そこで第二次大戦中、ドイツ軍兵士が熱烈に愛唱し、やがて戦線を越えてイギリス兵やアメリカ兵にも歌われたことを知った……。一曲のラブソングがくり広げる壮大な人間ドラマを、ひとりの日本人が冷戦当時のヨーロッパの地を歩いて探りだす。欧州独特の情景と国境を越えて邂逅する多彩なひとびととの交流。

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1941年夏、アフリカ戦線に展開していたドイツ軍兵士は21時57分、空には星がきらめき、月が砂漠を明るく照らすなかでベオグラード放送にダイヤルをあわせて、かすかに聞こえてくる一つの歌に聴き入った。無電でまた戦車の受信機でセンチな歌に聴き入った。「兵営の前 営門のわきに/ラテルネ(街灯)が立っていた/それはいまでもまだ立っている/そこでまた君と逢おう/あのラテルネの下で/もう一度 リリー・マルレーン」リリー・マルレーンとリフレーンされる、この歌は世界中に流された。やがて、この歌はドイツ軍兵士と戦っていたイギリス軍兵士へ、そしてアメリカやオーストラリアの兵士たちへと拡がっていきます。イギリスの従軍記者は、「フランスで、ポーランドで、ノルウェーで。潜水艦で、砂漠で。司令部、酒保、タコつぼの中で。兵士たちは若い女のナイーブな歌をうっとりと聴いていた。兵士たちのヒットソングだった」と伝えています。この歌――「リリー・マルレーン」と著者の鈴木明さんが出会ったのは1970年の大阪万博。招かれて来日した往年の大スター、マレーネ・ディートリッヒがもの静かに、歌ったのを生まれて初めて聴いたことから、鈴木明さんの「リリー・マルレーンへの旅」が始まります。この歌は、どうやって生まれ、敵味方の境を超えて歌われるようになったのか。兵士たちの心を虜にしたのは何故なのか。この歌について、ゼロの状態からヨーロッパに飛んだ著者はそうした疑問を関係者にぶつけ、歩き回り、自分の目と耳で「リリー・マルレーン」の秘密を確かめていくわけですが、その足跡を読み進めていくうちに、霧の中にあった事実が徐々に姿を現してくるような知的興奮が湧いてきます。この歌をドイツ兵のために最初に歌ったドイツ人の女性歌手ララ・アンデルセンとドイツを母国としながらも後に連合国軍兵士のためにこの歌を歌うことになるマレーネ・ディートリッヒをめぐる物語は第2次世界大戦の裏面史として面白く読めます。
著者が入手したOSS(戦略司令部)の略号の入った古い英語版LPの解説には以下のように書かれていました。「恋人を故郷に残して、いま戦場にいる兵士の、悲しい歌。目の前には死の恐怖があり、愛する彼女は遙か遠くにいる。いや、ことによると、もう、ほかの誰かと一緒にいるかもしれない。兵士は今宵も、彼女との、初めての出会いの頃に、思いを馳せる。あの、兵営の近くに灯っていたランタンの下。彼女は、のび上がって、彼の唇を求める。二人の影は溶け合ったまま、闇に消えてゆく。あの昔みたいに、また逢おうよ、リリー・マルレーン。だが、再び彼等が逢うことはない・・・」一つの歌が戦争の中で生まれ、利用され、しかし人々の心に何かを残した。その秘密を解き明かそうとする、興味深い旅の記録です。(2011/8/19)
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