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裂けた旅券 (1)
  • 完結

主にヨーロッパを渡り歩いて15年になる職業不定の男、羅生豪介・33歳。ありとあらゆる外国事情に通じているため、仕事には不自由しなかった。今日はパリで、日本のアン・ノン族ツーリスト相手のにわか添乗員。浮かれる女性達の中に、勝手な単独行動で警察に保護された女性・瀬川京子がいた。彼女は自分の婚約者・片岡と、彼を追ってパリに行った友人の恵子を探しているのだと言う。予想通り二人は一緒に暮らしていたが、恵子は画家を志す片岡を、売春婦をして養っていた。パリは、自分を物語の主人公にして悲壮ぶる日本人に満ちている…。全てが秀作!ヨーロッパを股に翔ける男の読み切り短編シリーズ。

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書店員のレビュー

火曜サスペンスのようなタイトルに昭和フレーバーを感じさせる表紙。30年近く昔の作品ということでちょっととっつきにくい印象もあるのではと思うかもしれませんが、これはわりと気楽に読み進められる作品です。
フランス在住15年、無職の中年男、羅生豪介の場当たり的な海外生活ぶりというのが前半の主なテーマ。この路線の短編で話が続いていくのかな、と思い読み進めていたのですが、2巻の終わり、ヒロインの登場により「年の差国際恋愛」という要素を得て物語は一気に進展。このヒロイン、マレッタという女の子がまたとても魅力的に描かれており、枯れおやじ風な豪介との対比はとてもいいバランスです。30半ばまで無職の無頼外人であった豪介も物語の中盤にはついに定職を得て、KGBやら中東戦争やら陰謀に巻き込まれながらも国際結婚について真剣に考えたり。
しかしこの作品に感心してしまうところは、当時のヨーロッパと日本の社会情勢や人間性の相違点・共通点がとても自然に描かれているところ。これが70年代の日本人の国際感覚だとしたら当時のほうがよほどグローバルなんじゃないかと思ってしまいます。30半ばのおっさんと16歳のパリジェンヌの恋・・・なんともうらやましい話です。
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