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江戸禁断らいぶらりい

江戸時代は庶民文化の花ざかり。世界一短かいポルノグラフィである艶句、大胆な発想と緻密な文章技巧をこらした春本、人生の深奥を垣間みる小ばなし、いずれも江戸ならではの匂いにあふれる。それらの快作怪作をすくい上げ、人生観察の名手が縦横に品評、おもしろさを増幅させる―江戸ポルノ書譜。

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古今東西の文化に造詣の深い、いまや数少ない博覧強記の作家が江戸のポーノグラフィに遊んだ一冊。全編、江戸文化の粋があふれています。第一部は「ばれ句」。川柳の中でエロティックな情景を詠んだものがばれ句。俳句が世界でいちばん短い詩文学であるならば、ばれ句は世界でいちばん短いポーノグラフィだというのが著者・阿刀田高さんの見立てです。このばれ句、卑猥さの度合いから「高番」「中番」「末番」の三つのランクに分けられていて、最も卑猥な句とされたのが末番。この末番の中からこれはというものを選び出した句集が有名な『末摘花』(すえつむはな)で、いわばばれ句の宝庫的な存在だそうですが、阿刀田さんはこの『末摘花』以外からも共通のテーマに適うユーモラスなばれ句を拾い集めています。で、ばれ句の第一部、のっけから「腎虚」(じんきょ)、すなわちインポをめぐるばれ句が並んでいます。そして江戸時代の腎虚はさっぱり立たないインポテンツのことばかりでなく、その正反対のプリアピズムのことも指していたそうで、“立ちっぱなし”のほうの句もちゃんと出てきます。「水切れで小僧夜ひる立ちどおし」という一句を紹介したあと、阿刀田さん、北原白秋の歌をこう変えてみせます。「からだちのトゲは痛いよ・・・ まろいまろい、金の玉だよォ」・・・・・・。第二部「春本」、第三部「小咄」と阿刀田流のユーモアあふれる江戸ポーノグラフィ学が続き、興味はつきません。最後に、これは本書に限ったことではありませんが、講談社電子文庫の大きく、読みやすい文字組に触れておきましょう。1ページあたり27字×11行=297字。これに対し紙の文庫本の場合は42字×17行=714字ほどが一般的ですから、半分以下の字数となっています。この字数では紙の本ではすかすかで成立しないでしょうが、パソコンの画面で読んでみると、書籍として違和感がまったくないというか、実に読みやすい。つまり電子デバイスに最適化された文字組が工夫されているのです。そしてその文字の大きさ、組版は先頃利用解禁されたiPhoneでも同様生きています。解像度が上がったiPhone4ではさらに読みやすくなっています。これからの電子書籍の形を指し示していると言ってもけっして過言ではありません。(2010/07/09)
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