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東日本大震災 復興応援写真集 3・11以前 美しい東北を永遠に残そう

懐かしく、せつなく、美しい故郷の原風景2004年の中越地震の際、小学館は、震災に見舞われた新潟県山古志村の被災前の美しい風景を撮り続けてきた一人のアマチュア写真家・中條均紀氏の作品をもとに、復興応援写真集『山古志村ふたたび』を刊行しました。この写真集は、復興に立ち上がる地元の人々を応援すべく、その収益を山古志村復興基金に寄付いたしました。それと同じ試みを、東日本大震災でもできないか――それが、本書の出発点でした。しかし、今度の大震災は、被災した地域があまりにも広く、また津波による被害が甚大だったため、とても一地域に限定することができませんでした。そこで今回は、より広く、より多くの方々が撮った東北の写真を集めるべく、投稿作品を募集する方法をとりました。その結果、2011年9月から年末にかけての3か月間に、合わせて2000枚を超える写真が集まりました。本写真集は、これらの投稿写真の中から、作家の椎名誠氏、フォト・ジャーナリストの山本皓一氏の協力のもと約160点を選び、「失われた風景」「美しき故郷」「忘れえぬ思い出」という3部構成で掲載しました。懐かしく、せつなく、そして美しい--故郷の原風景を集めた写真集です。

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2000枚の応募写真の選考にあたるなど、本書編集に協力者として深くかかわった作家・椎名誠さんは、巻末に東北への思いをこめて「うろたえながら」と題する文章をよせています。〈善し悪しはわからない。ただしかし、喜びや悲しみや残酷さなどすべての感情を含めて、そこに流れていた「時間」が止まっている。そのことに気づき、わたしはいくらか狼狽してしまったようであった。この本に収められている夥(おびただ)しい写真は、すべてひとつの時間で静止している。それは写真ごとにそれぞれが異なった時間ではあるけれど、本来流れている筈の時間が止められてしまった風景や人々の笑顔、あるいは風に揺れているだろう花や、うねりに揺れているだろう海は、この本のなかで永久に静止している。もうそこには「ゆっくり流れている時間」というものすらない。なぜなら、それそのものがもうそこに無かったりするからだ。それがやるせない〉私たちの日常は、流れる時間のなかにあります。その「時間」を止めてしまう写真の力。東北の人々から寄せられた写真はすべてひとつの時間で静止しています。「流れている筈の時間が止められてしまった写真」を見続けていて、自身が流れる時間の中にいるという事実に思いいたった椎名さんはいささか気恥ずかしく、うろたえてしまったと打ち明けています。3.11から2年の時を迎えたいま、写真というものの力がいかんなく発揮された、この写真集が出版されたことを、そして写真集が電子書籍になったことを拍手で迎えたいと思う。企画立ち上げのきっかけは、2004年の中越地震の際、新潟県山古志村の被災前の美しい風景を撮り続けてきたアマチュア写真家・中條均紀さんの作品をもとに出版された復興応援写真集『山古志村ふたたび』でした。同じように、写真集を出版してその収益を復興に役立てることができないか。こうした思いからスタートした企画が、田中角栄から国境地帯まで幅広い取材活動を続けてきたフォトジャーナリスト・山本皓一さんの協力を得て、より多くの人々が撮った東北の写真を集めるために投稿作品を募集するというプロジェクトに発展し、さらに椎名誠さんの参加もあって、震災から1年たった2012年3月に『東日本大震災 復興応援写真集 3.11以前 美しい東北を永遠に残そう』と題する写真集に結実しました。ページ数99、2000枚を超える応募写真から、自身で写真もよく撮る椎名誠さん、山本皓一さん、小学館写真室の太田真三さんの3人によって選び出された160枚の写真が収録されました。「失われた風景」「美しき故郷」「忘れえぬ思い出」の3部に分類整理されてはいますが、どの写真にも共通しているのは「時間」が止まっているということです。巻頭6ページと7ページの見開きには岩手県陸前高田市の市街と青く広がる広田湾のワイド写真が収められています。海岸沿いの高田松原も、2003年7月の撮影時には、訪れる人々の目をやさしく癒やしてくれていました(撮影:渡辺雅史)。66ページには、3.11のちょうど1年前、福島県双葉郡浪江町権現堂で撮られた幼稚園児のお花見遠足光景。川沿いの土手に植えられた桜並木の下を家族とともにゆく園児たちの黄色い帽子と満開の桜色のコントラストが印象的な、記憶に残る写真です(撮影:半谷善宏)。故郷の市街と湾を見下ろす高台からの光景も、土手の桜並木と黄色い帽子の鮮やかさも、印象的であればあるだけ、それが3.11以前であることに思いがいきつき、そこで「時間」が止まっていることに気がつきます。椎名誠さんは、〈何という悲しく悔しく怒りと狼狽(ろうばい)に満ちた写真の群れなのだろう〉と先の文章を書き始めているのですが、ここに収録されている160枚もの「時間が静止した写真」は、私たちが3.11を境にもはや戻ることのできないところへ来てしまったことを突きつけているのではないでしょうか。もはや「写真」のところへは戻れない。これらの写真が永遠なのは、そういう意味なのではないか。福島第一原発に近く、多くの町民が今なお避難生活を余儀なくされている浪江町で、震災のわずか1年前に記録されていた「幸せの風景」。それは3.11を境に一変してしまいました。東北は被災前と被災後とで一変してしまいました。しかし、変わってしまったのは東北だけではありません。春の桜を楽しんでいた家族たちが生きている現在は、じつは私たちが生きている今にそのまま重なるのだということを、本書『3.11以前』は教えています。3.11後のフクシマの状況は、彼らだけの問題ではない、私たちの問題でもあるのだ――160枚の写真は静かに、しかし強く訴えているのです。(2013/3/15)
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