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獣たちの熱い眠り

トッププロテニスプレーヤー・三村が服を脱がされる気配で目を覚ますとそこにはネグリジェ姿の女がいた。「犯して」と淫らに囁く女に誘われ、熱く激しい快楽の時間を過ごした彼を待っていたのは、一部始終を盗撮した写真、そして3000万円の示談金要求だった。すべてを失った男がエロスと暴力で復讐に挑む!

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様々な職業を転々としながら小説を書き続け、芥川賞候補(1967年、「マイ・カアニヴァル」)、直木賞候補(1969年、「花を掲げて」)となったものの受賞を逃した勝目梓が娯楽小説に転じて出版した5冊目の単行本が本書「獣たちの熱い眠り」で、1978年の大ベストセラーとなった、記念碑的作品です。その後、中間小説雑誌を中心にバイオレンス官能小説を量産していくことになるのですが、その支えとなったのは若い頃からの同人誌活動で培ってきた文章の巧みさ。書き出しにその巧みさが表れています。〈どれくらい眠っていたのか――。服を脱がされる気配で三村は目を覚ました。〉巧妙に仕掛けられた罠によってスキャンダルに巻き込まれ選手生命を失ってしまったトッププロテニスプレーヤー三村浩司が謎を解き明かし復讐を遂げるまでを描くエロス&バイオレンス・ストーリー。男と女の欲望、性愛をときに激しくときに妖しく描く技巧がなにより本書の特徴ですが、じつはそれ以上に魅力的なのは罠を仕掛けた側の裏の顔が明かされていく社会派的な展開力で、それがバイオレンス小説としての迫力を感じさせます。勝目梓は2006年に私小説ともいえる「小説家」、2007年に「老醜の記」を相次いで出版し、純文学を諦めて通俗小説へと転じて今日に至った内面を明らかにして注目を集めていますが、そうした作家としての葛藤の中から生まれた作品でもあり、その意味でも勝目梓の代表作としてお薦めしたい小説です。(2010/4/2)
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