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昏き処刑台

お嬢さんを預かっている――。男は市の医師会会長にそう宣戦布告をした。男には、医師会と市が総合病院の誘致を巡り対立していたために、妻子が救急医療を受けられず見殺しにされるという、悲しい過去があったのだ。バイオレンスとエロスに彩られた怒りの復讐劇が今、始まる!『処刑台の昏き祭り』改題。

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舞台は東京まで東名高速で2時間ほどの地方都市。その町で権力を握る市長、医師会会長、建設会社社長に対して交通事故で死んだ妻と一人息子の復讐をはかる男の物語だ。大型総合病院の進出計画に反対する地元医師会による休日夜間の診療拒否などの実力行使で生まれた医療の空白。日曜日の夜に車にはねとばされて手当を受けることなく逝った妻子の不運の裏には市長や医師会会長らの不正があった・・・・・・。復讐劇は、東京の大学に通う医師会会長の娘・佳代の誘拐で始まる。市長たちのスキャンダルを白日の下にさらそうという思いから、周到な準備を重ね、行動を開始した主人公・柴と暴力団組員を動員して柴の抹殺とスキャンダルのもみ消しを狙う市長たちの攻防を、事件発生の一日目から七日目まで、日を追ってそれぞれの動きをドキュメントタッチで綴っていく手法が、展開のリズムをつくりだして読者をどんどん引き込んでいく。スキャンダルを暴き出すという目的のために誘拐した佳代を用意した地下室に監禁する柴。逃亡を防ぐために佳代は全裸にされている。誘拐から三日目に亡くなった妻の兄・荒川が突然現れたことで柴の計画は身代金目当ての誘拐へと変貌していく。荒川は佳代を当然のように陵辱し、柴にも同じことを強要する。そして4日目、5日目、6日目と市長・医師会長側と柴の息づまる攻防、アクションシーンは手に汗にぎる迫力だ。どんでん返しの展開で真相が徐々に明らかになった末のクライマックスは7日目。柴が単身、市長の自宅に乗り込んでいく。どんな結末が用意されているか。それは本でお読みいただくとして、最後に一言。身代金をもたされて解放される佳代が別れ際に柴に「抱いて・・・・」と言う。このあたりの女と男の機微の描き方、勝目梓はやはりうまいし、娯楽小説としてのサービス精神にも富んでいて、秋に楽しめる一冊です。(2010/9/24)
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