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都風俗化粧伝

美しくありたいという女心は、いつの世にも変わらない。本書は美人になるための実用絵入り百科ともいうべき、江戸後期のファッション・ブック。ニキビ・ソバカスの手入れ、紅白粉のつけ方、髪型、かぶり物、等々。

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「美」に対する女性の欲求・願望は時代を超え、洋の東西を問わず、永遠のものなのだということを実感させられます。書店に平積みされている女性雑誌のほとんどが、美しくなるための情報(知識から商品情報まで)で埋め尽くされ雑誌をめくるのも重くて重くてという状態ですが、江戸末期に出版された本書も美しく装うことにかける情熱においてけっして負けていません。「顔面之部」に始まり、「手足之部」、「髪之部」、「格好之部」、「身嗜(みだしなみ)之部」といった具合に目次は多岐にわたり、そしてそこに展開される内容も女性が知りたいことはすべて網羅しているといってよい。一例をあげておきましょう。顔貌(かお)の色を白うする薬方、色を白くする薬の伝は基本中の基本で詳細に記述されていて当然というべきでしょうが、本書のすごいところはそうした基本に留まらないところです。例えば「鼻の低きを高くみせる方法を教えたかと思えば、恰好之部では顔立ちによる化粧のしかたをすべて絵付きでこと細かに指導しています。さらには長時間の正座でしびれがきたときの対処法もあれば、大小便をこらえる方法まで紹介するほどの念の入れぶり。姿形から立ち居振る舞いにいたるまで、女性が知っておくべきこと、身につけているべきことが網羅されており、その意味で女性風俗の変遷をしるうえでの貴重な文献として東洋文庫にも入っている次第ですが、そこで開陳されている化粧術、現代の視線で再注目されてもいいようです。紹介されている薬類はいうまでもなく化学物質ゼロ、天然ものという、エコ化粧術です。ちなみに本書の書名「都風俗化粧伝」には「みやこふうぞくけわいでん」と読み仮名がついています。「化粧」はここでは「けしょう」ではなく、「けわい」と読ませています。「けしょう」より広義の意味をもち、女性の身嗜み全般に関わる言葉として用いられているところも興味深いですね。(2010/4/23)
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