ユーザー評価なし レビューを見る
さよなら! 僕らのソニー

「たしかなことは、かつてソニーのウォークマンにときめいたようなことは、もう二度と起こらないということである」(本文抜粋)。“技術のソニー”ブランドは、なぜ凋落してしまったのか?それを解くカギは、大賀、出井、ストリンガーと続く経営陣の知られざる暗闘にあった!経営の失敗がいかに企業ブランドに影響を与えるか、他人事ではないその怖さを指摘。電子版のための加筆2章分を追加し、平井一夫新社長体制についても記述。ビジネスマン必読の一冊。

  • 830(税別)で 今すぐ購入

    獲得ポイント 9pt(1%還元)

  • この作品の新刊を通知
    ONOFF
  • この著者の新刊を通知
    ONOFF
書籍の詳細

書籍一覧

書店員のレビュー

著者は、ボストンの経営学修士のコースで学んだ友人の経験として、非常に興味深い話を紹介しています。友人がいつも出席していた「経営学」の講義。いつも決まって日本と日本企業を手厳しく批判する一人の「優秀な」白人学生がいたそうです。「日本人は猿真似ばかりする。自分でオリジナリティのあるものを生んだことがない」「日本企業は発明・発見に努力するのではなく、米国や欧州の企業が苦労して考案したアイデアなどをすぐに真似して似たような製品を安く作ることで利益をあげている」などなど一方的な言いがかりに近い文言ですが、これがアメリカ人にはうける。いくら無知から来るものとはいえ、繰り返し繰り返し言われると、日本人としてはめげてきます。そんな半年が過ぎたころのこと――友人が快哉を叫ぶ事件が起きました。少し長くなりますが、引用します。〈白人学生のいつもの日本と日本企業批判が始まった。しかしその日は、批判だけでなく「どんな企業が理想かといえば」と言って、彼が理想とする企業の名前を具体的に挙げたのである。「米国のメーカーのソニーを見ろ。つねに独創的な製品を市場に送り出しているし、アイデアも独自のもので、他社の真似などしない。こういう企業こそ、日本企業は見習い理想とすべきだ」その瞬間、友人はここぞとばかりに発言した。「ソニーは、日本の企業です。アメリカの企業ではありません」すると白人学生は、「日本人はウソまでつくのか」と声を荒げると、「なんてバカなことを言い出すのだ」と蔑(さげす)みに近い視線を投げつけてきたという。教室内に張り詰めた気分が流れ、沈黙が支配した。友人は、孤立した。その白人学生だけでなく、他の同級生たちも冷たい視線を友人に注いだからだ。誰もがソニーをアメリカの企業と信じているようであった。まもなく、担当教授が、口を開いた。「残念ですが、彼(友人)の言っていることは正しい。ソニーは、日本の企業です」〉海外に出て、まさかソニーに助けられることになるとは、海外ではソニーは特別な存在なのだ、おそらく自分と同じような経験、ソニーに救われた日本人は他にもたくさんいるんじゃないか――じつはソニーとはライバル関係にある家電メーカーに勤める友人はしみじみと語っていたそうです。「日本のソニー」、「日本国民のためのソニー」、つまり「僕らのソニー」。ここに他の日本企業とソニーの最大の違いがあるというわけです。そのソニー――「僕らのソニー」でいったい何がおきているのか、を明らかにしようというのが、本書執筆の目的だと筆者は明言しています。ソニー取材歴17年の筆者は、特別な存在だったソニーがフツウの会社へと落ちてゆく過程を冷静な目で検証していきます。第4代社長の岩間和夫急死後、二人の創業者、井深大、盛田昭夫から後を託された第5代社長・大賀典雄。社長の座を後進に譲って相談役に退いていた大賀が「ハワード(会長兼CEO)と中鉢(社長兼エレクトロニクスCEO)がここまでやるとは思わなかった」と怒りを露わにしたという秘話を発掘しています。〈ソニーは、二〇〇七年二月、本社を品川から港区港南の二十階建ての高層ビルに移す。しかし大賀氏には、新本社にソニー相談役としての部屋は与えられなかった。前本社の大賀氏の部屋の窓からは、ソニー創業の地「御殿山」の旧本社の建物が見える。その旧本社跡地を、ソニーは売却した。大賀氏の部屋の窓からは、旧本社の建物が壊されていく様子が一望できた。時折、大賀氏を前本社の相談役室に訪ねてくるOBや親しい人たちに対し、窓を開けて崩れゆく旧本社の建物を指さして「ハワードと中鉢が、ここまでやるとは思わなかった」と怒りを露わにしたという。御殿山の旧本社は大賀氏にとって、偉大な二人の創業者、井深大氏と盛田昭夫氏とともに苦労を分かち合って、町工場に毛が生えた程度に過ぎなかったソニーを世界企業に育て上げた忘れられない場所である。ソニーが抱える諸般の事情から売却しなければならなかったにせよ、日々取り壊され姿を変えていく「創業の地」を見せつけられる大賀氏の心中を察するにあまりあるものがある〉単なる感傷ではありません。日本を代表する企業になるという気概をもってニューヨーク五番街に日章旗を掲げて世界進出を果たした創業者たちの精神、スピリットの喪失の象徴とも捉えることができるのではないか。筆者は、いつからソニーは、これほどまでに功労者やOBをリスペクトする気持を失ってしまったのかと暗澹たる気持になったものだと記しています。「僕らのソニー」への挽歌というべき一冊です。(2013/2/8)
  • 参考になった 3

オススメ特集

一覧を見る

ここもチェック!

コンテンツについて

  • この商品は紙書籍ではありません。すぐにご覧いただける電子書籍です。
  • デジタルコンテンツのため、商品の性質上、返品できません。
  • 紙書籍とは内容が異なる場合がございます。また、サイトに表示されているサムネイルと電子書籍の表紙画像が異なる場合がございます。予めご了承下さい。
  • 対応デバイスに記載されていない端末は、購入できても読書はできません。ご注意下さい。
  • Mac OS X 10.5/10.6をご利用で最新版のebi.BookReaderがご利用できないお客様は、サイトの表記でMacが利用可能端末となっていてもリフロー書籍が読書できません。ご了承下さい。
  • Android OS 5.0以上でebiReaderをご利用のお客様は、サイトの表記でAndroidが利用可能端末となっていても一部のリフロー書籍が読書できません。ご了承下さい。