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隣りの女

夫の給料をつましくやり繰りして、家事と内職で毎日が過ぎていく平凡な主婦に訪れた恋。“人妻の恋の逃避行”(そして、気になるその後)をあざやかに描いた表題作。家族のために頑張って、気がついたらそろそろ30歳…な主人公の微妙な恋心を衝いた「幸福」と「胡桃の部屋」。大人になって出会った異母兄弟の愛憎をえがく「下駄」。突然の飛行機事故により、向田邦子の絶筆となった「春が来た」。いずれも読んだら忘れられなくなる、まさに珠玉の5篇。

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向田邦子が1981年8月22日に飛行機墜落事故によって台湾で亡くなってから30年目の、2011年夏――向田作品が再び脚光を浴びています。脚本家として数々のテレビドラマを世に送りだしてきた向田邦子が、その前年に直木賞を受賞して作家としてあらたな領域に進もうとしていた矢先の突然の訃報。51歳でした。その死から30年を経て巡ってきた向田ブーム。長くテレビ批評を書いてきた佐怒賀三夫さんはテレビ論の集大成として『向田邦子のかくれんぼ』(NHK出版)を出版しました。一見平凡に生きているように見える、普通の家族が抱えこんでいる危うさを見つめ、人間社会の普遍的な問題として描き出す向田作品こそはTVドラマの到達点との思いがあったと佐怒賀さんは執筆の動機を語っています。そんな向田作品を代表するのが、今回紹介する『隣りの女』。表題作「隣りの女」のほか「幸福」、「胡桃(くるみ)の部屋」、「下駄」、「春が来た」(向田邦子最後の小説)の計5篇が収録されています。もうご存じの方も多いかと思いますが、「胡桃の部屋」は現在、NHKで新作のTVドラマとして放送中。理由を告げることなく突然家を出ておでん屋の女と暮らし始めた夫役に蟹江敬三、その妻役に竹下景子、出版社で編集者として働く娘の桃子役に松下奈緒というキャスティングもあって話題を呼んでいます。設定は昭和ですが、そこで描かれている男と女の機微、悩み、喜び、そして家族劇・・・・・・そのどれもが私たちが暮らす「日常」のなかに潜む問題、危機として共感できるものとなっています。薬品会社の部長として堅物で通っていた父親がある日いつものように出勤したきり家に戻って来なかった。そして部下の男から「生きているが、一人でいるわけではない」という知らせが届く。それから3年の間、自分を犠牲にして父親代わりとして母、弟妹を支えてきた桃子は、弟から母が父と連れ込みホテルに入っていったのを目撃したと聞かされます。その時の桃子を向田邦子は〈風船に針で穴をあけたように、体中の空気が抜けてゆくのが判った〉と絵的に表現していて、思わず松下奈緒の空気が抜けてゆくことを実感している顔を思い浮かべてしまいました。〈女だてらに父親気取りで、部隊長みたいな顔をして、号令かけて―― おかしくて涙が出てきた。女としての本当の気持ちを封じ込め、身も心も固く鎧(よろ)ってすごした三年だった。(引用者中略)だが、薄い膜一枚向うに、自分でも気のつかない、本当の気持が住んでいた。いまから気がついてももう遅いのだろうか。実りはもうないのだろうか〉桃子は美容院に飛び込んで3年前からパーマをかけることもなく肩まで伸びていた髪を思い切って耳の下で切り落としてもらった・・・・・・。タイトルの「胡桃の部屋」の意味、由来はここではあえて触れないでおきます。(2011/8/26)
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