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凍りのくじら

藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う1人の青年に出会う。戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。皆が愛する素敵な“道具”が私たちを照らすとき――。(講談社文庫)

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凍りのくじら

♪~タラララララ タラララララ タラララララ タラララ

 幼いころの私は毎週金曜日午後7時に流れるこのメロディを心待ちにしていました。希望あふれる軽快なメロディとともに、目の前に大好きな「ドラえもん」が現れるのですから。

 ドラえもんは物心がついたころから現在にいたるまで、ずっと変わらずに大好きな存在です。丸みを帯びたフォルムに味わいのあるしゃがれた声(大山のぶ代さん世代です)、そして母親のような包容力に少年っぽいどじでおちゃめな面も持ち合わせていて……ドラえもんの魅力は挙げきれません。クリスマスが来るたび、サンタクロースに「ドラちゃんがほしい!」と頼む幼い私に、きっと両親は手を焼いていたと思います。でも実のところ、いい大人になった今でもサンタクロースに頼みたいくらいに切実な願いだったのですが。

 日常のあらゆる場面でこのひみつ道具があったらなぁと夢想してしまうのは、おそらくドラえもん好きのあるあるネタだと思います。遅刻しそうなときには「どこでもドア」がほしいなぁ、好きな人に告白するときには「ムードもりあげ楽団」でロマンチックなムードをつくってほしいなぁ、出版社に勤める今では「本の味の素」(これをふりかけた本は、どんなものでもおもしろくなってしまうのです)を世界中の本にふりかけたいなぁ……なんて、ついつい妄想してしまうものです。『凍りのくじら』の主人公理帆子ちゃんも、私と同じようにあれこれとひみつ道具を欲しがっていました。

 どうやらドラえもんを題材にした作品があるらしいという情報を耳にして、すぐに手に取ったのが辻村深月さんの『凍りのくじら』でした。藤子・F・不二雄先生を敬愛し、ドラえもんをこよなく愛する女子高生・理帆子ちゃんが主人公で、各章のタイトルにはひみつ道具の名前がつけられています。ドラえもんファンの辻村深月さんにしか書けない、愛を感じる作品です。そして不思議なことに、この作品を読んでいると「ドラえもんが生きている!」という感覚があるのです。辻村深月さんの愛のパワーなのでしょうか? 空想でしかないはずのひみつ道具も現実味を帯びてきて、テレビ画面で動いているドラえもんを見ているよりもよっぽど近くに感じるのです。

 以前、友人が「毎年読みたくなる一冊がある」と言って、とっておきの本を紹介してくれたとき、とてもうらやましくなった覚えがあります。当時の私は、すてきな本や感動する本を挙げることはできても、何度も読みたくなる本を見つけられないでいたからです。でも私にとって『凍りのくじら』との出会いは特別なものとなりました。ドラえもんに会いに、これからまた何度も何度もこの作品を読むことになると思います。

(2014.06.15)

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