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凍土の密約

殺人事件の特捜本部に呼ばれた公安部の倉島。被害者は、右翼団体に所属する男だ。殺しの手口はダガーナイフで一突きするというプロの仕事。2日後、ロシアとの密貿易を資金源にしている暴力団員も殺される。捜査を進めるなか第3、第4の殺人が。実行犯は元極東ソ連軍の特殊部隊に所属していた人物と推定された。この連続殺人には、間違いなくロシアが関係している──はたして犯人の目的は何なのか。この国で好き勝手はやらせない!大人気警察小説シリーズ第3弾。

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警視庁公安部外事一課の捜査員・倉島――ロシア担当の外事警察官を主人公として始まった、今野敏の新シリーズ。『凍土の密約』は、『曙光の街』『白夜街道』に続く、その3作目です。殺人事件などの犯罪捜査にあたる刑事を描く一般的な警察小説とは趣が異なります。そもそも公安、外事とは何か。今野敏は作中でこんな風に説明しています。〈日本には諜報機関がない。アメリカには、NSA(国家安全保障局)や、CIA(中央情報局)があるが、日本でその役割を担っているのは、公安調査庁でも内閣情報調査室でも、外務省の国際情報統括官組織でもない。警察庁の警備局ですらない。東京都の警察である警視庁が、その任務を果たしているのだ。だから、警視庁公安部の規模は、人員も予算も公表されているものの数倍はある。公安の捜査員の多くは、その身分が厳しく秘匿されている。彼らは、敵対組織に潜入したり、人知れず商社の社員として働いていたりする。また、エース級の公安捜査員は、領収書なしの金をほぼ無制限に使える。倉島も、その恩恵に与(あずか)ることがしばしばある。昨日の夜の飲み代も、領収書いらずの経費だった。公安の仕事は、日本という国家を守ることなのだ。それに負い目を感じることはないと、倉島は思うようになった。(中略)日本人は平和ボケしていると言われている。それは、いざ平和でなくなったときに対処できないという考えが前提になった発言だ。平和ボケ、いいじゃないか。倉島はそう思う。平和ボケのまま、ずっと暮らしていければいいのだ。平和ボケしていられる国を守り続けること、それが、自分の役割だと、倉島は思うようになった。それが、公安の誇り〉いわゆるエース級一歩手前の倉島捜査員に、赤坂署に設置された殺人事件の特捜本部に加われとの命が下された。しかもその指示は警察庁警備企画課から名指しで出されたものだった。殺されたのは、派手な街宣で知られる行動右翼の幹部。在日韓国人で、鋭利な刃物による刺創と切創が一つずつ。なぜ自分が殺しの特捜本部にといぶかる倉島だが、その眼前で新たな殺しが続く。ロシアとの取引を資金源としていた暴力団の組員、ロシア人ジャーナリストが連続して殺害された。ロシア人ジャーナリストは倉島とともに捜査に当たる捜査員が情報源としていた男だった。そして、やはり公安に協力していた大学教授が死体で発見される。4人を殺害した手口は鮮やかで、たとえば二人目の犠牲者である暴力団員の場合、背後から心臓を一突きされていた。それが致命傷で、他に傷はなかった。肋骨の間に刃物を滑り込ませるようにして突き刺している。軍隊などでかなり高度な訓練をうけた殺しのプロによる連続殺人と見て間違いないものの、目撃情報はまったくなく、特捜本部の捜査は難航する。4人の犠牲者に共通する「ロシア」との関わりに着目した倉島は独自の捜査を進め、ロシア人協力者からの情報提供を得て犯人に迫るが、なぜ4人を殺さなければならなかったのか、背景の解明がいっこうに進まない。じつは諜報戦争を戦う倉島たち、公安外事捜査官にとっては、極論すれば容疑者の逮捕よりも、なぜ殺さなければならなかったのか、人を殺してまで得ようとしたものはなんなのか、目的の解明こそが重要で優先すべきものだ。だから、犯人を特定しておきながら、その情報を特捜本部の刑事には提供せずに秘匿する。殺人者の身柄を押さえたところで、事案の根が解明されなければ、第2、第3のプロが送り込まれてくるだけのことで、「戦争」は終わらないというわけです。あくまでも裁判に耐えうる証拠、自白を求める刑事警察に対して、証拠や自白にこだわらない、事実だと納得できる情報さえあればよしとする公安。こうした姿勢、考え方の違いは当然、捜査方針、方法の違いを生みだし、内部対立が激化していきます。公安と刑事の対立が物語に奥行きを与え、緊張感あふれる展開で読者を引きこんでいくところは、さすが警察小説の名手・今野敏です。そして、思いもかけない結末――倉島は殺されたロシア人ジャーナリストが遺した「釧路」「留萌」というキーワードにたどりつきます。釧路と留萌。直線で結べばちょうど北海道を二分することになる二つの地名が「凍土の密約」というタイトルに深く関わる重要なメッセージとなっているのですが、それはここでは触れないでおきましょう。(2013/1/11)
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