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民暴の帝王

実話以上に真実が描かれた暴力団の内幕小説関東最大の暴力団・稲森会理事長、石毛晋は不動産業も経営する経済ヤクザで、民事介入暴力(民暴)に辣腕を振るい、銀行合併、ゴルフ場開発にも手を染める闇のフィクサーだ。一方、関西の巨大暴力団・山内組は関東進出を密かに目論み、石毛の周辺に手を伸ばしていた。石毛はこれを察知し、知能と暴力で先制攻撃をかけていく…。日本の裏社会を知り尽くした硬派ジャーナリスト、溝口敦だけが描ける迫真の暗黒小説が電子版で初登場!

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〈・・・男たちは前後から角川を挟み込み、ひとりがいきなり物もいわず、角川の両肩をつかんで局部に膝蹴(ひざげ)りをくれた。顔をしかめて前に屈(かが)む角川の頬(ほお)に拳が叩(たた)き込まれ、角川は後ろに足をもつれさせてたたらを踏んだ。「おっさん、悪いけど、きょうはゴルフどころやないで。命もらいに来た。死んでもらうで」上の歯左右に金歯の光る男が、左手で角川の肩をつかんで支え、同時に右手はベルトから拳銃を抜き出して角川の脇腹に銃口を押しつけた〉溝口敦のドキュメンタリー小説『民暴の帝王』は、関東一円に根をはる広域暴力団・稲森会幹事の角川孝が早朝、自宅前で襲われ拉致される迫力シーンで始まります。1992年に光文社カッパノベルスで出版され、翌93年には小林旭、渡瀬恒彦主演で映画化されました。著者のノンフィクション作家・溝口敦は、この作品の直前、1990年に東京都新宿区高田馬場の仕事場の前で何者かによる襲撃を受けています。山口組関係の著書が引き金となったと見られていますが(犯人は逮捕されず時効となっています)、そうした経験もあってか、暴力団など日本の裏社会、地下帝国を徹底的に追究するノンフィクション作品を世に問うてきた溝口敦が、フィクションとして描くことで「業界」の深層にせまろうと試みて、注目を集めたシリーズ第1作です。2006年には、東京三鷹市の路上で著者の長男がハサミを持った指定暴力団山口組元組員に太腿を刺されて重傷を負うという事件が発生していることからも、その著作がいかに真相に迫っていて業界にとって「危険」なものであるか、わかろうというものです。さて『民暴の帝王』です。映画では小林旭扮する「大和会理事長・江田晋」は原作では稲森会の石毛晋です。民暴、すなわち民事介入暴力で大きな力を持つ経済ヤクザですが、稲森会の名前からは実在の広域暴力団・稲川会の存在が容易に思い浮かびます。また、対抗勢力として日本最大の暴力団、大阪に本拠を置く「山内組」が登場してきますが、これはいうまでもなく山口組を想起させます。そして何より、ストーリーの根幹をなすのが、太平洋相互銀行――資金量1兆円、首都圏100店舗の相互銀行界の雄であったが、創立者の大規模リゾート施設構想が引き金となって経営危機と内紛が表面化、右翼や暴力団の食い物にされてきた――をめぐる東西の民暴の利権争奪戦争。太平洋相銀は結局、三友銀行によって吸収合併されるに至るわけですが、こうした設定は、かつての住友銀行による平和相銀吸収合併の経過がそのまま下敷きとなっているかのようで、暴力団組織同士の思惑を秘めた交渉、駆け引き、権謀術数などのディテールは、さすがと唸らせるリアリティです。民暴はいかにして、つけ狙った企業に入り込み、食い物にしていくのか――。太平洋相銀=三友銀行のゴルフ場計画に食い込もうと企む稲森会の石毛を乗せた車が非上場とはいえ宅配便で急成長を遂げたウドウ輸送本社の玄関口に乗り付けたシーン。〈石毛はノックもせずに会長室に入り込むと、いきなり立ったまま切り出した。「きょう来たのは、会社ごとゴルフ場を買わないか、と思ってね。いや、冗談。買うのは私で、あんたは名義貸しだ。会社の名前で株を買ってもらいたいし、あんたの名前で役員にもなってもらいたい。ものはゴルフ場だけど、変な会社じゃない」あずさみカントリーを所有するためのダミーは茂木が探すということだったが、石毛にしてみれば気の置けない仲間の方が便利である。あずさみ開発社長の名義人としては有働がよかろうと石毛は考えたのだった。(中略)石毛は茂木信夫が持ち込んできた話をかいつまんで有働に伝えた。ウドウ輸送は宅配便で急激に伸びている会社だから、社会的な信用という点では問題がない。有働には否も応もない話だった。石毛のいうことなら何でも聞く金庫みたいな存在である〉自らは経済活動の表にはけっして出ることはなく、一般社会で堂々と活動できる企業経営者を名義人として裏で操るようにして利権を手にしていく。いうまでもなく、これは第一歩で、利害が衝突する邪魔な存在が現れれば、あらゆる手段――暴力の行使も含めて――を用いてこれを排除することもいとわない。いまや民暴は一般社会と切り離された特別な世界ではありません。見るからに暴力団員という存在ばかりではありません。どう見てもできるビジネスマンという存在が知恵も暴力(力)をもつ民暴であったりする時代。あなたの隣にある危機、民暴の世界を描く迫真作。大きな文字で読みやすい小学館eBooksから2012年秋にリリースされた注目書です。(2013/1/4)
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