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奇想ミステリ集

奇想天外・荒唐無稽と絶賛をあびる山田風太郎作品。その原点が現代ミステリだ。「愛する義妹の孕(はら)む子の父親探しに狂奔するアプレ遊廓の経営者」「客の男たちを恋の騎士として競わせる経歴不詳の酒場のマダム」ら、戦後のデカダンスを色濃く映す主人公。戦慄と猟奇、妖美と夢幻の渦巻くなかに仕掛けられる想像を絶する動機と犯罪、ドンデン返しの結末。人情の機微を踏まえたトリックが翻弄する傑作集。

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忍法帖シリーズで知られる山田風太郎が昭和24年から昭和30年代半ばにかけて書いた初期ミステリーの短編を集めた一冊です。「奇想」というタイトルを裏切ることのない、虚をつく設定に意外な結末――よく計算された物語をつくる芸が楽しめるようになっています。たとえば「露出狂奇譚」。白昼の銀座一丁目から4丁目に向かって男が自転車を押しながら歩いていく。男のズボンの間から突出したものに通行人たちが気づき始め、警官がかけつける。「君、何をしているんだ」「歩いています」「そんなことはわかっとる。ここはどこか知ってるかね?」「銀座です」「銀座って、それを知っていて君――君のズボンのあいだからのぞいているものは何かね?」「盗んできたものではありません、僕のものですから、どうぞかまわないで下さい」・・・・・・なんとか本庁に連れて行こうとする警官を煙に巻く平凡で真面目な容貌、蒼白な顔をした男。せっぱ詰まった感じの男は股間の露出をめぐる奇想天外な二の矢、三の矢を放ちながらずんずん歩いていく。慌て気味に追う警官と群衆。気がつけば目的の地、八丁目。とうとう男は一丁目から八丁目まで歩きとうしてしまいますが、そこで何が起きるのか、何が目的だったのか。顛末は本でご覧ください。(2010/07/16)
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